タイ旅行記 ―2日目― ゴーゴーボーイズで大人の遊び・バキバキの×××と浅黒い肌の男の子

旅行前、タイについて調べていたら、ゴーゴーバーというものの存在を知った。番号を付けられた裸同然の女の子が壇上で踊る。客は好きな子を指名し、席に呼んだり、お持ち帰りしたりできるのだ。そして更に調べると、その男バージョンであるゴーゴーボーイズというのもあるらしい。

ゴーゴーボーイズは本来、ゲイが男の子を買うための店なのだが、女が男の子を買ってもいいという。ショーに力を入れている店もあり、おとなしくショーだけ見て一杯飲んで帰るくらいなら、お金もそんなにかからないようだ。今回の旅行で、絶対に行こうと決めた。

というのは、18歳で社会に出た瞬間から、私の周りの男たちはとても気軽に女を買っていて、それがどんな気持ちなのか知りたいと前から思っていたからだ。キャバクラのようなカジュアルなものから、本番ありの店、ライブチャットのようなバーチャルなものまで、たくさんの人が堂々と女を買っている。

私は買われる側の性から、買う側の性になってみたかった。どんな気持ちでそういうことをするのか体験してみたい。それに、夫婦間の性生活がうまくいっていないから性的な店でパーッと遊びたい。それから単純な好奇心、修正なしの男性器が見たいという熱い欲望、まあ動機としてはそんなところ。

夜10時、私は昼に買ったワンピースを着て、ソイ・トワイライトと呼ばれる区域に足を踏み入れた。直訳すると「たそがれ通り」。ぬるい風が露出した肩を撫でる。ホテルで髪を洗ったばかりだが、ドライヤーを使っていないのにもうすっかり乾いていた。

歩いているだけで、何人もの男たちが体に触れてくる。「オネエサン、オトコ、ドウ?」客引きは日本語だ。きっとこれまでにもたくさんの日本人が訪れたんだろう。男も女も。誘惑の手をすり抜けて、目的の店「Dream Boy」へ。

値段を聞くと、店に入って1杯飲むのに480バーツ。おかわり500バーツ。席に男の子を読んで1杯ごちそうするのに500バーツ。日本円だと最低で1600円、全部あわせても5000円ほどだ。安い。私は吸い込まれるようにその店に入った。客はほぼ全員男だった。欧米人、アジア人、あらゆる人種の人がいた。

私は前から2列目の席に座った。壇上では、パンツ1枚の若い男の子が十数人、音楽に合わせて体を揺すっている。顔を見るのが恥ずかしく、ついつい股間ばかり見てしまう。私から股間までの距離は1.5メートルくらい。まもなくショーが始まるという時、1人の男の子が私の席にやってきた。

「ワタシ、ニホンゴはなせマス。トナリにスワッテ、いいデスカ?」。優しそうな子だった。でも隣に座られたりなんかしたら、気が散ってショーを楽しめないような気がしたし、その時点ではまだ、最低限のお金しか使わないぞ!と思っていたので断った。そしてショーが始まった。

ショーはいったいどういうコンセプトなのかと突っ込みたくなるような出し物が多かった。アクロバティックな動きや、ニューハーフによる真面目なダンス、コメディタッチの寸劇まで、さまざま。その合間に時々、勇ましい音楽が流れ、フル勃起でコンドームをつけた男がちんこを見せびらかしてきた。

そう、全員がバキバキなのである! 大きすぎて、まるでニセモノみたいに見えた。カリも尋常じゃない段差だ。いやらしいというより、びっくり! という感じ。男同士の絡みは、今は規制が厳しいらしく、いっさいなかった。ちょっと残念。私はだんだん、男の子を席に呼んでもいいかなという気になってきた。

そこでスタッフを呼び、「さっきの日本語できる男の子を読んでほしい」と英語で伝えた。しばらくしてその子がやってきて、隣に座った。名前はゴルフくん。上半身は裸だ。下半身はよく見なかった。追加のドリンクを注文し、一緒にショーを見た。誰かと一緒に見るショーは楽しかった。

大きいちんこ神様のようなものが先っぽから水を飛ばしまくるというショーでは、彼が水しぶきから私を守ってくれた。ちょっとときめいた。1時間ほどでショーが終わると、彼は別なフロアに私を連れていった。追加料金はかからないけれど、なし崩しに延長になってしまった。私は次第に焦ってきた。

なぜなら、空港から私をホテルに送ってくれた親切な人から、夜中はタクシーに1人で乗るのは絶対に避けるよう忠告されていたからだ。もう帰らなくては…と考えたところで、ゴルフくんにホテルまで送ってもらえばよいのでは? と思いついた。「あなたを連れ出すのにいくらかかるの?」と聞くと、「640バーツ(2000円)」。全然、払える!

「夜道を1人で帰るのが怖いからホテルまで送ってほしい」ということを説明したのだが、その概念が全く伝わらない。日本語と英語で何度も説明してやっと理解したのか、「店に言ッてクル!」と言って、彼は私服に着替えてきた。安心して、もう1つのショーを最後まで見た。

会計で2000バーツ(6600円)ほど支払う。ゴルフくんと一緒に店を出ようとすると、太った女性スタッフが笑顔でハグしてきた。何を言っているのか分からないが、とても喜んでいる。ちょっと異様に感じるくらいの喜びようだった。店を出て少し歩き、ゴルフくんにタクシーを拾ってもらう。無事にホテルに着いてタクシー代を払い、「ありがとう、バイバイ」と帰ろうとすると、彼が「エ、なんで?」。何かを言いたそうだが、言葉で伝えるのを諦めて、携帯電話を操作する。翻訳アプリを私に見せると、そこにはこう書いてあった。「3時間一緒にいられる」。

ホテルまでの道のりで分かったことだが、彼は日本語は少し話せるけれど得意というほどではない、つまり片言、そして英語はまったく分からないらしい。あんなに「ホテルに送ってもらうのが目的なので、着いたらすぐ帰ってほしい」と! 日本語と! 英語と! ジェスチャーで! 説明したのに! まったく伝わってなかったのだ!!!

とにかく帰ってもらおうと帰りのタクシー代70バーツ(230円)を払おうとすると、「チガウ、2000バーツ(6600円)」と。なんと! 持ち帰り代640バーツ(2000円)というのは店に払うお金で、それとは別に彼に2000バーツ払う必要があったらしい。なんだとーーー!

確かに事前に調べた情報によると、短時間持ち帰りで1発するのには、確かそれくらいの金額だったような気がする。彼が嘘を言ってるのではなく、私が理解していなかっただけだ……。道理で店のスタッフがあんなに喜んでいたわけだ。このままバイバイはもったいないか……。私は逡巡した。

けれどセックスする気は全くない。近くで飲むという手もあるけどイチャイチャしないのなら言葉が通じない子と一緒にいても気を遣って疲れるだけだし、翌日も早起きして観光したいし……。

ということで、「やっぱりいいや! これで終わり! バイバイ!」と手を振った。彼は(???)という顔で去っていった。

高い送迎代になったが、合計4000バーツ(13000円)で一生分のちんこを見て安全に帰れたのだから、妥当だろう。彼はほとんど何もしないで6600円手にしたわけだけど、日本の物価が3倍くらいなので、日本でいったら2万円の小遣いをあげたぐらいのことで、全然普通でしょ。

結果的にはショーを見ただけで何もしないで帰ったボロい日本人、という感じになったけど、めちゃくちゃ楽しかった! 大満足。女を買う男の気持ちが分かった。選んだ子が隣にいるだけで嬉しいのに、あんな彼氏みたいに接してこられたら、きゅんきゅんしちゃうよ!

とはいっても、やはり「この笑顔は私がお金を払ったから向けてもらえる笑顔なのか」「この子からは私が札束に見えているんだな(札束というほど金払いは良くないが…)」という虚しさは拭えなかった。とても自分から何かしようという気にはならなかった。

いや、やっぱりもったいなかったかな? 手くらい繋いでもよかったのでは!?

私の心は、千々に乱れた。