川俣シャモとデンプシーロール

「いらっしゃい、川俣町。」というイベントに参加してきました。

福島県川俣町は、県庁所在地である福島市の隣に位置する町。広い土地に山、畑、田んぼ。たまに集落が点在する……そんな町で、有名漫画家にサインがもらえて、しかも無料で肉が食べられるという夢のような催しが開かれました。なんでも、風評被害に悩んでいる福島県を元気づけようと、東京吉祥寺ホルモン焼き「わ」さんと、カイジでおなじみ福本伸行先生が発案してくださったようです。ちなみに東京電力福島第一原発事故により計画的避難地域になった山木屋は、会場となった川俣町体育館よりひと山超えて峠を攻めまくった先にあります。

なんといってもメンバーが豪華!!

【現地参加漫画家】
板垣恵介 (グラップラー刃牙)
浦沢直樹 (20世紀少年)
かわぐちかいじ (太陽の黙示録)
かざま鋭二 (風の大地)
こしばてつや (Deep Love Real)
西原理恵子 (毎日かあさん)
佐藤秀峰 (ブラックジャックによろしく)
葉月京 (CROSS and CRIME)
東村アキコ (ママはテンパリスト)
福本伸行 (賭博黙示録カイジ)
真鍋昌平 (闇金ウシジマくん)
本そういち (夢幻の軍艦大和)
森川ジョージ (はじめの一歩)

しかしそれでも、今の川俣に人がどれくらい集まるかまったく見えません。しかも予報は雨。ガラガラだったらどうしよう…。せっかく来てくれる漫画家さんたちがガッカリしないかな…。不安になっている私に、仕事で不参加の同居人が言います。「ぜーったい混むだろうけど福本のサインもらってきて。お前のはどうでもいいから、とにかくカイジだけはヨロシク!」

とりあえず、はじめの一歩の最新刊と同居人に買ってもらった色紙5枚を準備して、いざ!となり町の川俣へ。

30分前に着いたにも関わらず、そこにはすでに体育館を取り囲む行列が。そして開始予定時刻を1時間ほどオーバーしたところでようやく漫画家さんたちのバスが到着。

ぽかーん

本当なら歓声が上がるところですが、なんてこった、どれが誰だか分からない…!みんな普通のおじさんに見える…。拍手をするところなのか迷ったけど、漫画家さんじゃなくてスタッフかもしれないし。あ、西原理恵子先生と東村アキコ先生はばっちり分かりました!遠目から見てもおしゃれだったなー。

結論から言うと、4時間並んでサインはもらえませんでした。人、来すぎ…!朝から行くべきだった!ほとんど先生方の姿も見られず、ヤワラちゃんの色紙を持つ子どもが取材を受けてるのを眺めて終わりました。ああ、幕之内…。海月姫…。

炊き出しもすごい行列です。

食べるのに夢中で写真を全然取らなかった!焼肉、ホルモン、きゅうり、川俣シャモの親子鍋、たこやきなどがありました。お酒も配ってました。

川俣シャモはブランド鶏なので、地元といえども一度も食べたことがなかったんですが、もうびっくりするほどおいしくて何回もおかわりしちゃいました(鍋が大きすぎて、あの人数でもさばき切れなかったらしく余ってた)。朝食抜いて行くべきだった!次は自分で買おうっと。

主催のホルモン屋さん。

のれんの写真を撮りたいと言ったらちゃんと写るようにと下のほうを抑えてくれました。いい人だ!お揃いのスタッフTシャツも素敵です。

途中で浦沢直樹先生の生歌が!

あれだけ面白い漫画を書いて、ギターとハーモニカを操って歌もうまいなんてすごい。隣で手拍子してるのは西原理恵子先生です。曲は20世紀少年の「グータラスーダラ」。家に帰ろう、終わらない日常を過ごそうって歌詞なんですよね。今の状況でこの歌を聴いたら、なんだか泣きそうになってしまいました。ニコニコ動画の中継では「盛り上がってない」ってコメントされてたけど、現場はヒューヒュー言ってましたよ。

私は見なかったけど、この前にサマータイム・ブルースも歌ってたみたいですね。その選曲はどうなんだ。

体育館はスクリーニング会場にもなってました。えっ、ちょっとやってみたい!やるやるー!と大はしゃぎで振り向いたら、迷彩服の男性がぬっと現れて。

「あっ、すみませ…あの…軽い気持ちでやるもんじゃないですよね?」
「皆さんの安心のためにやってますから、どうぞどうぞ」

炊き出しは行列なのに、スクリーニング会場はガラガラでした。順番を待ってる人より検査してる人のほうが多いくらい。両手を広げて立つように促され、頭の先から足の裏まで機械をあてられます。

この間、計器をじーっと見てたんですが…。針がふれない!全然!時々ぴくっと動くくらい。えーちょっと待ってよ、私4時間も屋外に立ってて雨にも濡れてるのよ、全然検出されないってほんとなの?壊れてんじゃないの、電池入ってんのかァァー?

「あのー、最高で何マイクロシーベルトですか?」
「シーベルトじゃないよ、カウントカウント。でもまぁマイクロシーベルトにしたら0.01くらい?まぁ全然問題ないねぇ」

スクリーニング済証は、安っぽいただの紙切れに、しょぼいハンコを押しただけ。こんなものがあるかどうかで、差別を受けたりするの?

証明を渡す係員の隣で、なぜかミニカーが配られていました。

そうしてイベント会場から帰ったあと、
「ごめんね、混みすぎてサインもらえなかったよ」同居人に謝って、
「だから言っただろ?川俣をナメるな!と…」慰めてもらいました。

安全か危険か、あまりにもいろんな意見がありすぎて、もう分からなくなっている今日この頃。でも私自身のことだけを言えば、しばらくここに住み続けるし、売ってる農作物も普通に食べるし、今までと変わらず過ごすかな。

ところで川俣といえば世界一長い焼き鳥への挑戦で有名でしたが、そのライバルである和歌山県日高川町が「日高川ジビエ猪・鹿・鳥料理まつり」を中止して、震災直後にその肉を支援物資として送ってくれました。

記録挑戦より支援 日高川町、福島・川俣に焼き鳥の材料
http://mytown.asahi.com/areanews/wakayama/OSK201103140035.html

その時のセリフ。
「ライバルに元気になってもらわないと。復興してもらい、正々堂々と闘い、お互い世界一に挑戦しましょう」

カッコよすぎるだろ!

原発の風評被害を吹き飛ばせ!~マンガ家チャリティイベント@福島県川俣町 – ニコニコ生放送
http://live.nicovideo.jp/watch/lv47388777?ref=ser

「福島県川俣町に人気漫画家集結ッッ【いらっしゃい、川俣町。】」 – Togetter
http://togetter.com/li/127167

広報かわまた 2011年6月号(PDF)
http://www.town.kawamata.lg.jp/data/kouhoushi/pdf/201106-02.pdf