早くおばさんになりたかった

今年30歳になった。女としてあと何年通用するのか、結婚は、出産は…など、歳を取ったことでの不安はもちろんあるが、30代になったことでようやく肩の荷が降りた気がする。この、コミュ力を必要とされる息苦しい社会の中で、若いお姉さんとして生きていくのは私にとってはつらいことだった。

「おばさん」という呼称 – Ohnoblog 2
http://d.hatena.ne.jp/ohnosakiko/20100809/1281348120

「おばさん」という呼称は蔑称なのだろうか?世の中の女性はみんないつまでも若くみられたいのだろうか?はっきり言って私はいくつに見られようがどうでもいいのだが、女性は30越えたらおばさんだと思う。だから、私もおばさんの仲間入り。おばさんと呼ばれても全然平気、嫌じゃない。

一番楽しみなこと。それは、おばさんだったら誰にでも親切になれるということだ。若い女が男性に親切にすると、端的に言うと「でれでれ」される。そしてそれは女を売りにしていない者や場面によっては不快に感じるのである。困ってる人がいたら助けてあげたいだけなのに、女であるということで何もできなくなってしまう。また不快なだけではなく、自意識過剰と言われるかもしれないが「ナンパされたら」「つきまとわれたら」「レイプされたら」という不安がつきまとうのだ。おばさんならそんな心配はない。

それに友達がいなくても、いつも一人行動でも、ちょっとおしゃれをさぼっていても、空気を読まなくても、多少ずうずうしくても、大丈夫。だっておばさんだから。人間性を否定されたりしない。おばさんだから、恥ずかしくない。

女であることをやめたくはないけれど、張り詰めた神経をちょっと緩めることができた、30歳のおばさん。

なんて、らくちん。

さて元記事にもちらりとあったが、私が恐れているのは旅番組などでリポーターがお年寄りなどに言う「おかあさん」だ。私は生涯子どもを持たないかもしれないと今、思っている。歳を取って子どもがいなかった時、他人から気安く「おかあさん」と呼ばれたら、眠る前に布団の中で人生を悔いる夜が一週間は続くだろう。

歳はみんな取る。おばさんだっていいじゃないか。みんなおばさんって呼ぼうよ。呼ばれようよ。結婚や出産は人それぞれなんだから、「おかあさん」「奥さん」はやめようよ。

目上の女性を「お姉さん」と呼びながら、そんな世の中になったらいいなあと夢想するのだった。