コロナ禍で、どこにも行けないゴールデンウィーク。5連休の3日目、「みどりの日」にそれは起こった。目覚めて体を動かした瞬間に気づく。……足がしびれている! 試しに立ち上がってみると、まるで正座したあとのように、足で自分の体重を支えることができなかった。よく確認すると、右足の脛から甲にかけてビリビリしたしびれがある。触れてみても、自分の足じゃないような変な感覚だ。
寝相が悪かったのだろうか。まぁ、しばらくすれば治るだろう。
楽観的に考えていたものの、そのしびれは何時間しても、翌日になっても、消えなかった。さすがに不安になる。なんせ、前日までは何の異常もなかったのだ。こうなると素人がまず考えるのは脳梗塞だ。私は急に恐ろしくなった。呂律が回っているか?顔が歪んでいないか?目は見えているか?だが今のところ、足以外におかしなところはなかった。
病院に行くとして、何科に行くべきなのか。そういえば近所に新しく整形外科ができていた。公式サイトで確認すると、なんと先月できたばかり。開業ホヤホヤだ。ちょっと行ってみたい。わくわく。診療案内のページにも、「四肢の痛みやしびれの治療を行います」と書いてある。しかも「スポーツでがんばる人を応援します」ともあるじゃないか。バドミントンで痛めたのか以前から肩の痛みに悩まされていたから、良さそうだったら今後かかりつけにしたいという下心もあったりして。
連休が明けると、仕事はコロナのおかげで半日勤務になっていた。これ幸いと病院に向かう。ちょっとした検査ですぐに腓骨(ひこつ)神経麻痺と診断された。「足がしびれたからってすぐに脳神経科に行く人がけっこう多いんですよね」と、お医者さん。「そうすると脳の検査をいろいろやったりして、遠回りになるんです」。た、確かに脳の病気を疑ってたーーー!
腓骨神経というのは膝の裏あたりにある神経で、これが何らかの理由で圧迫されると脛から甲にかけてしびれるそうだ。まさにそれ! という症状だった。医者ってすごい。体に不調があると悪いことばかり考えて、インターネットで検索しては不安が大きくなっていたけど、変にあれこれ考えるより病院に行ったほうがいいかも。しかし、よほど変な寝相で寝ていたのか。トゥルースリーパー買おうかな。
「安静にするべきですか?それとも動かしたほうがいいんですか?」と聞くと、「エビデンスがないからどっちでもいいですよ」と返す先生。 ああ~初診の患者にエビデンスとかいう言葉使っちゃう系の医師……すき……。
治療としては、飲み薬を3週間飲んで様子を見ましょう、良くならなければ電気で検査します、とのこと。最初はうまく歩けなくて、片足を引きずって歩いていた。痛くはないけど、無理して動かすとじんじんしてつらい。少しずつ良くなって、今は発症から3週間(投薬から17日)。だいぶ普通に歩けるようになった。裸足だと問題なし、靴を履くとちょっとしびれるかな。この、「順調に治ってて薬は切れるけど完治はしていない」という状況、また病院に行くか迷うなあ。
それにしても、病院で「きっと治りますよ」と言われた時。
そうか、足のしびれって一生治らない可能性もあったんだ……、と気づいてぞっとした。
元気なうちに、やりたいことはやらなくちゃ!
改めて思う出来事だった。