新日本プロレス観戦記

地元でプロレスの試合が開催されるという。

ボクシングが好きで、一度見てみたいと前から思っていたのだが、地方には来てくれない。だが、プロレスはこんな田舎まで来てくれるのだ。あまりよく知らないけれど、「しんにち」という団体があることは知っている。選手も2、3人くらいの名前はパッと出る。ちょっと気になる。……そのくらいの興味レベル。

実際、試合に行くつもりはなかった。興行のPRで職場にプロレスラーが来るという噂を聞き、本物のレスラーを見てみたくてウロウロしていただけ。通路の陰で身を潜めていると、やがて獣神サンダー・ライガーがあの恰好でやってきた。そして明らかに挙動不審な私に対して、「こんにちは!」と爽やかに挨拶してくれた。

「あっ。絶対行こう」と思った。その日のうちにチケットを買った。

プロレスは野球のようにビール飲みながら見る感じなのか、それとも真面目に見るべきなのか分からない。観戦マナーも知らないので、ネットで一通り勉強した。

動画の撮影は禁止!棚橋弘至編

なるほど、動画はだめだけど写真をアップするのはOKなのか。一眼レフで撮っても良いらしい。よーし望遠レンズで連写しちゃうぞ!

わくわくしながら当日、会場へ向かった。そこはいつも私が仲間とバドミントンをやっている体育館だった。本来コートがある場所には養生シートが敷かれ、中央のリングを囲むようにパイプ椅子が並べられていた。ほの暗い照明が異様な雰囲気を醸し出している。

初心者が最前列のSS席に座るのは気が引ける。とはいえ、せっかくなので良い席を……と、2番目に良いS席をとっていた。左右はすべて空席だった。S席は意外に穴場だったようだ。客の多くはアリーナに陣取っている。長い望遠レンズをつけた一眼レフを抱えていたので、すいているのは私にとって好都合だった。

ゴングが鳴り、試合が始まる。最初のほうの試合に出てくるレスラーたちはあまり知らなかったが、なかなか楽しい。雰囲気にも少しずつ慣れ、次第に「ぎゃー」とか「おー」とか声も自然に出て、気分が高揚していく。レスラーが場外に出て闘うシーンもあり、すぐそばの通路で組み合いが始まった時はすごい迫力でかなりびびった。

試合が進むにつれ、会場全体が熱を帯びていく。

飯伏幸太が出てくる。飯伏はテレビで見たことがあって、かっこいいなと思っていた。コスチュームは露出度が高めで、見惚れるような筋肉が惜しげもなく晒されていた。

そして身軽! ひょいひょい敵をかわしていき、華麗な動きで観客を魅了する。すっかりファンになってしまった。

満を持して棚橋弘至が登場! エースの風格! めちゃくちゃ華があってかっこよかった。

肘もかっこいい。

跳んでもかっこいい。

棚橋、勝った!

とはいえ、ここまでくると初心者の私でも、プロレスというものは勝敗がどうこうというものではないんだとすっかり理解していた。

最後の試合はオカダ・カズチカを含む5対5。レインメーカー! 出番は少なかったが、しっかりと魅せてくれた。

2時間半、夢のような時間だった。本当にあっという間に終わってしまった。

初めてのプロレス。ずっとカメラを構えていたものの、技を知らないためシャッターチャンス逃しまくり。どのタイミングで技が繰り出されるのか、技の前のモーションをちゃんと把握しとかないと良い写真は撮れないことが分かった。

ルールもよく分からないので、複数の選手が入り乱れてたりすると「今、どういう状況!?」って感じで戸惑うんだけど、それも含めてすごく面白かったな!

もちろんライガーもいた。ライガーありがとう!